虫のお勉強

医学部に入ったらヒトの勉強ばっかりすると思っている皆さん、それは大きな間違いです!大学3年生になったら「寄生虫学」で寄生虫の勉強をします。僕は子どもの頃から虫が大好きで、祖父母の実家でフラッと外に出てカマキリやカブトムシを採取しては、虫カゴに入れてずっと眺めていました。しかし、慈恵生として寄生虫を学んでからは、いつの間にか僕の中の「虫」は医学と恐怖の対象となってしまいました。医学部で学ぶ寄生虫学では、主にヒトを病気にする虫に注目した勉強をします。獣医学部などの他学部では、家畜などに寄生する虫についても学びますので、圧倒的に寄生虫の種類が少ないのが唯一の救いですね...さて、寄生虫はウイルス(20〜100nmぐらい)や細菌(1〜100µmぐらい)と比べて巨大です(数mmから10m超まで!)。さらに、大きさの幅、感染する体の部位、起こす症状が多様なので、病気の発見方法や対処まで多岐に渡ります。寄生虫学とは大量の知識を必要とする深い学問なのです。

こんな学問ですが、慈恵の寄生虫学講義では、病院でよく見る寄生虫ごとの人生(虫生?)を、最先端の研究をしている慈恵の先生たちが分かりやすく教えてくれます。この寄生虫の一生を専門用語では「生活環」と言いますが、卵から生まれるのかどうか・どの動物を経由するのか・ヒトに感染するのはいつか・いつ死ぬのか・何をしたら死ぬのか、など全てが含まれます。つまり、誰もが聞いたことがあるアニサキス、マラリア、ギョウチュウ、サナダムシはもちろん、初めて聞くクリプトスポリジウムなどの寄生虫の生涯を学び、3年生が終わる頃には皆さんはすっかり寄生虫博士になっています。

さらに、慈恵ではカリキュラムとして講義で学んだことを実際に体験できる「寄生虫実習」が同時にあります。ここでは、教科書だけではイメージの付きにくい実際の虫の色やサイズを、標本や実物から観察することができます。例えば、2人1班でサバを捌いて本物のアニサキスを取り出したときは、強い印象によってアニサキスのサイズと存在している場所をすぐに覚えられました。これだけではなく、蚊が大量にいる箱の中に手を突っ込んで虫除けスプレーの効果を学んだり、感染した糞から虫卵を抽出してみたり、顕微鏡で動いている極小の虫を観察したり...教科書だけでは絶対に学べないことが西新橋で体験できるのも魅力です。今の日本は衛生管理がしっかりしていることから、寄生虫は医者になっても見かけないのでは、と思うかもしれません。しかし意外と患者さんの周りにはいますし、アニサキスや海外などの旅行先の寄生虫に関しては、もはや明日は我が身です。実際に本気で寄生虫を学べるのは3年生だけだと思います。有事に適切な知識で戦えるのは慈恵の名物講義の一番の利点だと勝手に考えております。

また、新種の寄生虫や寄生虫の悪さをする成分の研究の研究、さらには患者さんを助けてくれる寄生虫など、掘れば掘るほど面白い学問だと思います。慈恵ほど寄生虫学に力を入れている大学は全国でも少ないです。魅力的な「ヒトに寄生する虫」の講義を是非慈恵で受けてみませんか。