思考の深さが導いた合格
私は智辯学園和歌山高校の出身です。すぐ近くに海と山がありビルなんて全くないようなのどかな所で育ちました。小さいころから生き物の観察やしくみを知るのが面白くて、いつの間にか生物好きになっていました。当初は東京大学の理科二類を目指していましたが、勉強を重ねるうちに人の精神や脳の構造、社会性に興味が移り医学部を志すようになり、その中でも東京慈恵会医科大学の「病気を診ずして病人を診よ」という理念に強く惹かれ、「ここで学びたい」と思い始めました。私の勉強の仕方で特徴的だったのは、ほとんど予備校に通わなかったことです。というのも和歌山には河合塾、駿台、代々木といった予備校がなかったのです。そのため国語だけは地元の「能力開発センター」という所で学びましたが、数学・理科・英語はほとんど独学でした。田舎だとどうしても情報量や機会が限られます。しかし逆に、「自分の頭で考える力を磨くチャンス」だと考えていました。参考書を軸に、問題を一つひとつ深く理解することに集中しました。
数学では、ただ解法を覚えるのではなく、「なぜこの解法が思いついたのか」「他の考え方はできないか」と考えながら解いていました。『青チャート』と『1対1対応の演習』を繰り返し使い、自分の頭の中に網羅的な数学の解法を叩き込みました。また自分はノートをきれいに作ることはせずに、ただ様々な仮説を検証するための道具として扱いました。英語は高3になっても全く完成していなかったため、基本となる単語と文法を春に急ピッチで勉強し、秋以降にかけてはひたすらに長文読解、和訳、英訳を繰り返しました。この時気を付けたことは量と質の両立です。一回演習をするごとになぜこの問題を間違えたのか、正解したのかを分析し、その分析を次の演習で確実に意識して出来るようにする。このようにして英語は勉強しました。理科では、教科書を何度も読み返し、化学反応や生物の仕組みを図にして覚えました。暗記ではなく、「なぜそうなるのか」を説明できるようにするのが目標でした。
模試の回数も少なく、都会のように医学部専門塾があるわけでもありませんでした。しかし、それがかえって良かった気がします。自分で計画を立て、失敗しながら修正していくうちに、「考え抜く力」が自然と身についたと思います。誰かに答えを教えてもらうより、自分の頭で答えを見つけた方が、ずっと記憶に残ります。予備校に行かなくても、自分で考え抜くことができれば合格に十分届くと感じました。
慈恵の面接では、生物が好きになったきっかけと、生命を学ぶ面白さを話しました。研究への探究心と、人と向き合う医療への関心、その両方を大切にしたいという思いを率直に伝えました。合格発表の日、画面に自分の番号を見つけた瞬間、これまでの努力が報われたと感じました。特別な環境がなくても、限られた中で「考え抜く」ことを続けた日々こそが、自分を支える力になったのだと思います。これから受験を迎える人たちに伝えたいのは、「環境よりも思考の深さが大事」ということです。都会にいなくても、予備校に通わなくても、問題を本気で考え抜けば、必ず力になります。自分のペースで、自分の頭で考えることを楽しんでください。僕自身、智辯和歌山という落ち着いた環境で学べたからこそ、思考を深める時間を持てたと思います。これからもその学び方を忘れず、医学という深い世界を探究していきたいです。