病気を診ずして……
国領キャンパスでは、生物や化学、英語といった今後の学習に直結する科目から、人文科目や社会問題を扱う必修授業、さらには音楽史やAIなどの選択授業まで、幅広く学ぶことができます。中でも、最も慈恵らしさを感じられる授業といえば、通年で週1回開講される「医学総論」でしょう。この授業では、教授や卒業生の医師の方々が毎週講演を行い、相手の気持ちを推し量るとはどういうことか、寄り添うためには何が必要なのか、といった心構えを学びます。さらに、世界で活躍される先生や離島医療、終末期医療に携わる先生など、多様な臨床現場の話を伺うことで、自分の理想とする医師像を描くことができます。興味を持った講義の後には、講演された先生に直接質問しに行くこともできます。そこから研究室見学やゼミへのお誘い、留学のきっかけを得る学生もおり、自分の関心をより深く追求することができるようになっています。
また、同級生同士で行う体験型の講義も魅力の一つです。例えば、視覚障害・高齢者疑似体験演習では、お年を召した方々が生活において難しいこととは何かを学ぶため、腕や脚におもりをつけて歩行してみたり、白内障や視野狭窄が疑似体験できる眼鏡をつけて文字を書いたりします。さらに、血圧測定演習では同級生同士でペアを組み、お互いの腕にマンシェットを巻いて測定の練習をします。知り合って数ヶ月の友人が、痛くないように気を遣いながら測定してくれる姿は少し気恥ずかしく、私にとってとても印象に残る体験でした。うまくいかなかったところをお互いに話し合いながら工夫したり、初めてで少したどたどしい実技にお互いに笑い合ったりと、自然に仲を深めあえるのもこの授業の醍醐味です。
「病気を診ずして病人を診よ」という慈恵の建学の精神を体現するこの授業は、6年間の学びの礎となります。この言葉が示すように、慈恵では一人一人に向き合うということを何よりも大切にしています。先生方も同級生も、それぞれの目標や生き方を尊重しそっと背中を押してくれる、そんな温かい雰囲気こそが慈恵の魅力だと感じています。