学生だからこそ研究を

本記事では、本学のユニット「医学研究」について、一履修者である私が学んだことや感じたことを書いてまいります。本ユニットは、研究者志望の学生はもちろん、臨床医志望の学生も含め、すべての学生にとって意義深いユニットであることが伝われば嬉しく思います。ユニット「医学研究」、MD-PhDコースとはユニット「医学研究」は、慈恵医大の大学生が自由に選択できるユニットです。自分に合う研究室を選び、指導教員のもとで研究を進めます。本ユニットでは、論文発表や学会発表に対して単位が認定されます。大学在学期間中に6単位を取得することで、将来大学院に入学した際にMD-PhDコースを選択することが可能となります。

MD-PhDコースでは、大学生時代に取得した6単位が大学院1年分に相当し、標準修学年限が通常の4年から3年に短縮されます。さらに、大学院授業料の免除、研究費の助成、大学院在学中の奨学金貸与など、様々な支援を受けることができます。現在は、全学年合計でおよそ80名の学生がユニット「医学研究」を履修しており、4年生以上では学年の2割以上が履修しています。ユニット「医学研究」、MD-PhDコースについては、こちらの記事にて、より詳しくご紹介しております。

細菌学講座での研究

私は、現在医学科4年生で、このユニット「医学研究」を履修し、細菌学講座で、大腸菌の生存に必須であるタンパク質の機能やその解析法に関する研究を行っています。この研究を始めたのは、3年生秋の研究室配属のときですが、現在も放課後やオンデマンド授業の時間帯を利用して継続しています。学会にも参加し、口演(スライドを用いた口頭発表)やポスター発表を行いました。

研究を始めたばかりの頃は、実験器具の名前も分からず、マイクロピペットの持ち方もおぼつかない状態でした。無菌操作(雑菌が混入しないように行う操作)の必要性もあまり理解しておらず、「先生、できました!」「お、無菌操作でやった?」「え...何も気にしていませんでした...」「あ...じゃあもう一回やってみようか」ということもありました。それでも、指導教員の先生や大学院生に丁寧に教えていただくうちに、手技や考え方が身についてきました。実験で得られた結果が示す意味を考える面白さだけでなく、実験手法そのものを学ぶ面白さにも気づきました。

学会発表に向けても不安は大きかったものの、原稿やスライド、ポスターを何度も添削していただき、予行演習を重ねました。研究室の先生方に様々な観点からご指摘・ご助言いただき、自分の理解が曖昧な部分や今後必要な実験が明確になることも多くありました。当日を迎え、発表や質疑応答を行う際には、自分が確かに成長したことが感じられました。自分の中にあるものを人に分かりやすく、そしてその人のためになるように伝えるには、発表の文章、話し方、スライド、ポスターそれぞれに工夫が必要です。発表をデザインする過程を、十分に時間をかけて体験できたことは、貴重な経験となりました。

学生のうちから研究を行うことの意義

ユニット「医学研究」は自由選択ユニットで、必修科目に加えて履修するものです。「学生のうちから研究をする必要があるのか?」「研究者志望でなければ関係ないのでは」と思われるかもしれません。

私は、学生時代こそ、研究を始める絶好の機会だと思います。研究計画の立て方や基本的な実験手法、学会発表を、これほど丁寧にご指導いただけるのは学生の間だけです。慈恵の各研究室の先生方は、研究者であると同時に学生思いの教育者でもあります。それぞれの学生にとり、今、どんな学びが意義あるものかを真摯に考え、ご指導くださいます。

また、研究を自分のペースで進められる点も、学生時代ならではの利点です。卒業までに成果を挙げることを急ぐ必要はなく、じっくりと時間をかけて研究を進めることもできます。卒業後もその分野に進まねばならないという制約もありません。興味のある研究室に気軽に入ってみるだけで十分です。

さらに、臨床医志望であっても、研修医となって臨床の専門を決めるプロセスに入る前に、研究の世界に触れることで、自分なりの研究への向き合い方を知ることができます。自分の中で研究はどのような位置づけになりそうか、知ることができると、将来の解像度が上がり、選択肢が広がることでしょう。研究の実際を身をもって体験し、研究者の先生方と交流することで、自分の学ぶ医学がもとからそこにあったものではなく、無数の先人の研究によって解き明かされてきたものや、創り出されてきたものであることを感じ始めました。また、多くの実験動物が尊い命をもって医学に貢献を果たしてくれたことも、常に心に留めています。医学は絶えず日進月歩で動き続けるものであり、自分は、遥か昔から今までに紡がれてきた医学を学んでいると思うと、毎日勉強するときの感覚も変わったように思います。

このように、学生のうちから研究を行うことで、学生生活も将来も彩ることができます。

おわりに

本学には、学生が研究を基礎から学び、自分の興味を形にしていける環境が整っています。ユニット「医学研究」は、将来の専門分野を決める前に、医学の作り手の視点を体験できる貴重な場です。少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。研究を始めたその日から、きっとあなたの医学の見え方が少し変わるはずです。

本学で、皆さまにお会いできる日を心より楽しみにしております。