「高校生」から「医学生」へ、ひいては「社会人」へのシフトをアシストします

慈恵医大の6年間の医学教育で、特に12年生は"医師になるうえでの心構え""医学知識を自ら学んでいく姿勢"をゼロから醸成する過程です。たとえばスポーツや趣味も、ゼロから始める際はとても大変ですよね。クラスの友人・先輩・後輩との人間関係、部活動、アルバイト、一人暮らし、人生設計、などの"新しいこと"が学生生活のなかには目白押し。「友達には無い私ならではの悩み、自分一人で全部解決しなくては」という負担は、勉学のあゆみを妨げるかもしれません。

学生アドバイザー教員によるサポート

本学には、12年生対象の"学生アドバイザー制度"があります。今その学年で困っている事柄をすぐ相談できるように、教員1名と学生34名が小グループとして連絡を取り合い、時には昼食を共にしながら話します。私のグループの食事会に別グループの学生が来たこともありますし、学生アドバイザー制度が終わった36年生がひょっこり訪ねてくることもあって、堅苦しい制度というよりは"学生-教員間の交流"のきっかけとなるものです。学生生活における悩みを自己解決できるのは素晴らしいことですが、"些細なことを試しに相談してみる"ってなかなか良いものです。自分の意見は教員に話すうちに客観化されて、「そうだ、自分は正しい」と自信につながるでしょうし、教員の異なる意見を知れば視野が広がることでしょう。

学生部委員会の教員によるサポート

学生アドバイザー制度を運営しているのが、"学生部委員会"です。16年生の授業担当教員のうち、学生と接する機会の多い教員が学年の垣根を越えて集まって、学生アドバイザー制度とは別に全学生を6年間サポートします。部活動管理や学生生活ルール策定に関わる他、学生一人一人の相談にも乗っています。学生部委員が個人対応することもあれば、学生のプライバシーに配慮したうえで、大学組織として学生をフォローすることもあります。私はたまたま学生アドバイザー教員と学生部委員を兼任していますが、学生からふと「先生って教員だったんですか?友達だと思っていました」と言われて、なるほど私はそんな距離感にいるのかと思いました。学生部委員会の教員ラインナップは獣医寄生虫学者、数学者、文学者、新型コロナウイルス感染症対策本部の医師などなど...多様な社会の縮図のようです。こうした先生方と身近で接しながら、医学生の皆さんには勉学や大学生活に慣れてもらいたいと思います。

(解剖学講座 助教 矢野十織)医学科2年の人体解剖学・組織学・発生学の講義や実習、基礎医学研究を分担担当