再受験生から見た慈恵医大の魅力
私は東京大学工学部を卒業後、大学院で医工学分野の研究をしていました。そこでの研究は、工学的な知識をベースに新しい科学的な発見を探究するものでした。科学的な面白さがあり、知的好奇心が満たされる一方で、臨床現場での喫緊の需要に基づいた研究ではありませんでした。臨床応用を念頭に置いた医学研究を行うためには、工学的な知識に加えて、医学的知識や臨床の現状を学ぶ必要があります。そこで私は、医学部を再受験することを決意しました。
医学部再受験にあたり、慈恵医大が第一志望でした。その決め手は、慈恵医大の医学研究に対する姿勢が、非常に魅力的であったからです。慈恵医大では、臨床で得られた知見を基に、臨床医学と基礎医学を融合した自由な研究を強く推進しています。そして、臨床の現場では、その慈恵医大での最先端の研究成果が導入されており、先進的な医療サービスを提供しています。例えば、術中ナビゲーションシステムや3D映像を用いた腹腔鏡手術など、世界に先駆けた技術があります。臨床中心であり、研究に重点を置いていない医学部もあるなかで、このような慈恵医大の研究環境と実績に、魅力を感じました。
慈恵医大にはもう1つ魅力的な特徴があります。それは公正な入試です。世間一般的には、再受験生による医学部受験は厳しいと言われています。しかし、慈恵医大の入試では、そのような印象は全くありませんでした。実際、私以外にも再受験生が複数名入学しています。また面接試験では、再受験生だからといって圧迫されることは決してなく、多角的な質問を通して、受験生の考えを丁寧に聴き取るものでした。ここで重要視されているのは、社会人として医療・社会問題にどのような意識を持ち、自分の考えを他者に伝える努力をしているかだと思います。そのため、社会人としての自覚と医師になる明確な意識がある再受験生に対しては、慈恵医大は開かれた大学であり、受験を強くお勧めします。
慈恵医大を受験するにあたり、1つだけ注意点があります。それは、入試問題の傾向が他大学とは異なることです。私の個人的な感想としては、筆記試験は東京大学の院試問題に近い雰囲気を感じました。難解な知識や解法の丸暗記ではなく、問題を正確に読解・分析し、重要な基本法則を自在に使いこなすことが重要視されています。そのためには、問題演習により分析力を磨くことが大切で、考えたことや気がついたことをノートに言語化して書き出すことも有効です。面接試験に関しては、小手先のテクニックはあまり意味がありません。こちらも課題を落ち着いて読解・分析し、試験官との会話を楽しみながら自分の考えを分かりやすく伝えてください。
慈恵医大は、教員との距離も近く、生徒思いで温かい大学です。様々な経歴を持つ生徒が入学しており、私自身も同級と充実した大学生活を送っています。受験生の皆様とも同じ校舎で学ぶ日を楽しみにしております。
(医学科1年 Y.O.)※2023年1月掲載