私が慈恵で学ぶわけ 

私が医師を目指すことを決めたのは、高1の冬です。私が通っていた東京学芸大学附属高校は、スーパーサイエンスハイスクールに認定されており、全生徒が探求活動に取り組みます。私は好きな数学の中から、「多角数と立体数」について探求することに決め、夢中で課題に取り組みました。その甲斐あってタイにある姉妹校で、探求成果を発表する機会をいただきました。そこで、私は予想もしない体験をしました。

英語でのポスター作成や発表原稿作りなど、さまざまな準備を無事に済ませ、私はタイへ飛び立ちました。タイに到着して数日後、私はなんと39度の高熱を出してしまいました。小さい頃から身体は丈夫で、高熱を出したことはほとんどありませんでした。しかも、海外での発熱ということで、とても大きな不安を感じました。高熱でまともに座っていることすらできなかった私は、すぐに現地の大きな病院に運ばれ、入院しました。検査の結果、インフルエンザと診断され、薬を処方され、3日後には熱が下がり、帰国予定日前には退院することができたのですが、そのとき担当してくださったタイ人の医師の的確な対応は忘れることができません。私の心の中にある不安を取り除くため、平易な英語でゆっくりと丁寧に、病状やこれからの治療方針などを説明してくださいました。短い期間ではありましたが、患者さんの身になって考え行動する医師の仕事に憧れを抱きました。私もこの先生のように、病気そのものを診るだけではなく、病人までもケアすることのできる医師になりたいと思いました。タイでの入院生活は苦しいものではありましたが、自分が助けてもらった経験があるからこそ、私は今、医学生として頑張ることができているのだと思います。

医学部現役合格を目指し、高2から本格的に勉強を始めました。私は、一度教わっただけで習得できるタイプの生徒ではなかったため、学校や塾で教わった問題は何度も解き直しを行いました。解法を理解することはもちろんのこと、なぜその解法を選ぶのか説明できるようになるまで、 1問 1問を完璧に仕上げました。どの科目でも解法を理解することは大切ですが、理解だけで止まっていてはいけません。この問題が試験に出題されたときのことをイメージしながら、そのとき自信を持って解答できるようになるまで、徹底的に復習することが必要です。この勉強方法を2年間続けた結果、私は首都圏の国立大学医学部を含む、4つの大学から合格をいただくことができました。

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複数の合格をいただき、どの大学に進学すべきか迷っていた3月初め、私はもう一度、各大学が目指していることを調べ直しました。そして、慈恵の建学の精神である「病気を診ずして病人を診よ」が、自分のなりたい医師像とぴったりと重なることを感じました。慈恵に入学して 1年が経とうとしていますが、このまま慈恵で学んでいけば、自分がなりたい医師になれると確信しています。素晴らしい仲間たちに囲まれ、毎日とても楽しく学生生活を送っています。受験期には苦しいことも多々ありましたが、あのとき諦めずに頑張ることができたから今があると思っています。慈恵で楽しく充実した学生生活を送る自分を思い描きながら、受験勉強を頑張ってください。4月にみなさんとお会いすることを楽しみにしています!

(医学科1年 神山紅葉)※2023年1月掲載