《河井基樹》学生から見たカリキュラムの特色〜充実した臨床現場での学び・教職員と学生が協同して作り上げるカリキュラム〜

受験生の皆さま、こんにちは!医学科6年の河井基樹と申します。私はこの慈恵医大で勉学や部活動に励む傍ら、学生会活動として学生委員や学生カリキュラム委員を務めさせていただき、学生の意見や要望について大学の先生方と議論したり、カリキュラムの作成に参加させていただいたりしてきました。本稿では、それらの経験をふまえ、慈恵のカリキュラムの特色を学生目線で説明したいと思います。

慈恵のカリキュラムの特徴を、二つ挙げたいと思います。一つ目は、臨床現場での実習が非常に充実しているということです。本学では、6か年の間に75週におよぶ臨床実習が実施されます。現場での実習は1年次から始まり、附属病院のみならず、福祉施設や特別支援学校、訪問看護など様々な場で学びます。まだ医学的知識を持ち合わせていない低学年の間に、現場で患者さんや地域の方々に貢献することを通して、患者さん一人ひとりの背景を理解して向き合うことの重要性や、大学病院の外でのプライマリ・ケアの実際について、身をもって学ぶことができます。4年次の夏に行われる共用試験CBTOSCEstudent doctorとして病棟実習に出るための試験)に合格すると、2年間におよぶベッドサイドでの実習が始まります。最初の1年間は、附属病院(本院)において、内科や外科、小児科などほぼ全ての診療科を、見学型の実習形式で学びます。附属病院での実習は、各領域の専門の先生方が熱心に教えてくださるため、最新の医療に触れることができます。後半の2年目では、一つの診療科に約1か月(4週)配属され、医療チームの一員として診療に参加します。学生みずから患者さんの問診や身体所見をとったり、機会があれば指導医の監督下で基本的な手技(採血や外科縫合など)も行ったりします。この診療参加型の実習は、附属4病院や慈恵の関連病院(厚木や富士など)で行われます。実習は10か月(10診療科)にわたりますが、そのうち4か月は、自分が希望する診療科や病院(国内・海外留学も)を選択することができます。このような2年間におよぶ臨床実習、特に診療参加型の充実した実習が可能であるのは、附属病院や関連病院を多く持ち、かつ教育に熱心な先生方が多くいらっしゃる慈恵だからこそです。慈恵の教育は屋根瓦式といって、学生は教授や指導医の先生方のみならず、数年上の先輩医師や研修医の先生方から多くのことを学びます。屋根瓦式教育は、年差の離れすぎない先生方・先輩方から熱心に教えていただいた経験を、後輩たちに引き継いでいくという、慈恵の大切な伝統だと思います。

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(写真:教学委員の先生方と学生が意見交換している様子)

カリキュラムの特徴の二つ目として、先生方がカリキュラムを作成する場に、学生も参加させていただくということです。本学では、教学委員会の下部組織であるカリキュラム委員会が中心となってカリキュラムの策定を行っています。このカリキュラム委員会には、大学の先生方のみならず学生の代表が委員として参加させていただき、学生の意見も取り入れた議論が行われています。また、学生会活動の一つとして、学生が主体となった授業評価アンケートが年2回実施されており、その結果は教学委員会にフィードバックされます。このようにして、大学の先生方と学生が絶えず意見交換を行い、協同してカリキュラムの改善を行っています。

以上のように、本学のカリキュラムは、慈恵の強みを最大限に活かしながら、時代の状況や社会の要請に応じて策定されています。昨今のコロナ禍においても、遠隔授業の推進などカリキュラムは大きく変化しています。受験生の皆さまが慈恵に入学されるとき、その時代に適合したすばらしいカリキュラムのもとで、医学・医療を学ぶことができると思います。皆さまが本学に合格され、慈恵の仲間として共に切磋琢磨できることを、心から楽しみにしております。

(医学科6年 河井基樹)