入試システムとその特徴 〜東京慈恵会医科大学が求める学生像と入学試験への想い〜

 中央教育審議会高大接続特別部会による「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」(平成261222日)を受けて、本学は「1点刻みの画一的なペーパー試験での公平性、客観性だけを重視するのではなく、人が人を選ぶ個別選抜で多様な能力を多様な方法で公正に評価する」という目標を掲げ、2017年度から入試改革を行って来ました。

「病気を診ずして病人を診よ」という大学のミッションを具現化し、社会に貢献できる人を求めています。これまでの日々の学修と多様な経験の中から、以下の能力を入学時迄に身に付けている人を求めます。


  1. 変化する社会、多様な文化や人々の中での医療ニーズを学び、社会における医師の職責について学修することができる。
  2. 多様な個性・異文化の人々と交流ができる。
  3. 汎用的技能としての数理的スキル、論理的思考力、問題解決能力を有する。
  4. 自らの考えをまとめ、それを表現し、他者との対話を通じて協調的に新しい知識を創造できる。

 医療者となるにふさわしい資質をどう評価すべきなのかを問い続けながら、本学の教育理念に合致し、カリキュラムを修得し、卒業時に求められる能力を達成できる人を入学試験で選抜したいと考えています。そのために、一次試験で一定の学力について判定することに加えて、二次試験で面接と小論文を実施してその人の資質と能力を見たいと考えています。筆記試験では、覚えている知識を単に測るような問題ではなく、出来るだけ記述式の問題も入れて、考えるプロセスや表現の仕方も評価できることを目指しています。面接はMultiple Mini Interview(MMI)という方式で実施します。異なる面接官と11で面接します。異なる課題を用い、複数の能力の要素をそれぞれ多面的に評価ができるようにします。MMIは、近年では医療系分野でのhigh-stakes assessmentに用いられるようになった方法です。小論文は、課題文を読んでそこから自分でテーマを設定するものです。自分でしっかり物事を考え、その考えを他者にわかりやすく伝えようとする力、さらに、今自分が持っている知識を基に状況を理解して判断する力を評価します。小論文の受験テクニックを問うものでも、国語の試験でもありません。東京慈恵会医科大学は、世界でたった一人の「自分」が考えたことを表現しようと努力する人を求めています。

  • 慈恵医大は、どのような医師を(DP)、どのように育てるのか(CP)、そのためにどのような入学者選抜を行うのか(AP)を明示しています。
  • そして、本学が医師養成を通じて果たそうとしている社会的責任を明示しています。
  • 本学は、本学の使命を果たすために、入学者選抜を行っています。
  • 本学は、受験者の属性による差別や特定の個人の意向が反映されるなどの不正は認めない公正な入学者選抜を行なっています。

(教育センター 教授 中村真理子)