本学が二次試験で求めるもの

二次試験では面接と小論文を課します。

アドミッションポリシーに掲げられている「自己を表現し、他者を理解し、社会における自己の役割について考える能力」「他者に対して自分の考え方を論理的に伝える能力」「知識を基に状況を理解し、どのような行動が適切か判断する能力」および「他者と協調して新しい考えを想像する能力」を評価したいと考えています。画一的な一斉試験での点数に依拠した「公平性」の観念から脱却し、その人がこれまで生きてきて獲得した多様な能力を多様な方法で「公正」に評価したいと考えています。

面接Multiple Mini Interview(MMI)という方法で実施します。

MMIは、複数の能力の要素をそれぞれ評価するために、幾つかのステーションで異なった課題を課して行う面接法です。課題も面接官もステーションによって変わるため、受験生の能力をより多面的、包括的に評価できると考えられています。一つのステーションで失敗したとしても、次のステーションで挽回することができます。MMIは特に対人スキルと問題解決力の評価に優れているとされ、近年、医療系分野でのhigh-stakes assessmentに用いられるようになっています。MMIの成績がその人の将来の臨床能力と相関するという長期的な研究結果も揃ってきています。逆に、従来の面接では、入学後の学業成績、医療者としてのパフォーマンスを推し量ることは困難であるということがエビデンスとして示されています。

今年はステーション数を一つ増やして6ステーションとし、面接官も出来るだけ多くの方に参加していただいています。将来的にはさらにステーションを増やし、面接官にも多様性を持たせ、その人の持っている資質と能力をできるだけ引き出すことのできる面接を目指します。

面接後に小論文が課されます。

小論文は1000字程度の課題文を読み、課題文から自由にテーマを設定し、なぜそのテーマを設定したのかを説明し、そこから自分の考えを論じる形式です。字数は1,200字以上1,800字以内、試験時間は60分以上90分以内です。自分でしっかり考え、自分自身の考えをわかりやすく伝える力を評価します。たとえ稚拙であったとしても自分自身の考えを表現できているかを評価しますので、準備してきた内容を書くものではありません。小論文の受験技法を問うものでも、国語の試験でもありません。読み手に自分の考えを伝える能力を測りますので、読みやすさも評価の対象となります。

東京慈恵会医科大学では、世界でたった一人の「自分」が考えたことを「他者」に伝えようと努力する人を求めています。

(教育センター 教授 中村真理子)