新型コロナウイルス感染症対策と授業実施の両立
新型コロナウイルス感染症の流行が続いていますが、ライセンス教育の一面を持つ医学教育は、臨床実習などの対面での実習が欠かせません。本学医学科は、様々な感染対策を施した上で、2020年7月から授業を再開しています。その主な態様は、下記の《3方式併用の授業実施》です。
- 実習→オンサイト(基礎系実習・臨床系実習等)
- 演習→オンライン(少人数講義・テュートリアル等)
- 講義→オンデマンド(座学系は原則としてeラーニング)
コロナ禍より以前から、本学医学科は、「アウトカム基盤型教育」への移行を検討していました。アウトカム基盤型教育とは、医学部等の医育機関がまず『どういう医師を育てるか』というアウトカムを設定し、その目標を達成できるように実施する教育体系のことを指します。その目玉のひとつは、座学の大幅な削減とeラーニングによる自学自習へのシフトでした。コロナ禍により、オンデマンド授業が一気に市民権を得ることになり、まさに教育革命とも言える流れの中で、本学医学科も実質的にeラーニングの全面導入に至った次第です。
ただし、実習はその性質上、対面での実施が求められます。そこで、本学は下記の様な感染対策を定めて、実習を再開しました。
- ネット経由で毎日の検温結果と体調の報告(欠かすと実習参加が認められない)
- 部活動とその関連活動の禁止
- ロッカー等の使用、大学での昼食や自習、図書館利用などの部分制限
- 実習の開始と終了時刻は、朝夕のラッシュ時間帯を避けるように配慮する
- 基礎系実習では、1学年を2分割して、2場所or2交替での実施(学生間の距離が2倍→1メートル間隔を確保)
- 臨床系実習では、各医局での感染対策の指導に従う
- 検温、換気、ゴーグル、サージカルマスク、アクリル板、手袋、70%エタノール、1メートル以上の距離確保、等を感染対策のコアとする
3年生のある基礎系実習を例にすると、1学年を約50数名x2グループに分け、顕微鏡実習室と1号館5階実習室で実施しています。この2つの実習室は有線で接続されているため、パワーポイント等の表示や音声での指示を同時におこなうことが可能です。医学科学生と教員双方の率直な感想は、「スペースが2倍で広い!やりやすい!」。トップ写真で示すような、感染対策アイテムをきちんと備えての実施です。
加えて、本学は、全国の医学部に先駆けて、大学内に新型コロナウイルス検査に特化したPCRセンター(こちら)を設置しました。医学科の基礎系教員が、日頃から附属病院のコロナPCR検査をサポートしています。もしも医学科学生に感染者が出て、多くの接触者が生じた場合、このセンターで対象学生らのPCR検査を一気におこなう手筈が整えられています。
(熱帯医学講座 教授 嘉糠洋陸)