大学での学びの姿勢について
皆さんは、志望する大学に合格した先にある、大学での学びについて考えたことはありますか?
私が受験生だった頃は、自分が医師として働く姿を想像することはありましたが、大学に通うことでどのような能力を身に付けるのか、あまり考えたことはありませんでした。 浪人時代に、塾の先生の一人が、医学部は職業訓練学校のようなもの、とおっしゃっていたのが印象に残っています。当時は、医学の知識を詰め込み、問診の方法や手術の手技を、マニュアルを覚えるように習得する場所なのかなと漠然と考えていました。
本学に合格し、専門科目が始まる2年生のオリエンテーションで、問題解決能力の基盤となるのは体系だった知識であることや、自己主導型学修習慣の重要性について教わりました。その後学習を進めていて、あのお話って大事だったんだなと感じているので、ここで簡単に紹介させていただきます。 こまごまとした知識は、今日誰でもネット上で収集することができます。血管や神経の名称、病気の分類などについては、まだ医学生でないあなたでも、ネットで検索して正確な情報を得ることができます。 しかし、細かな知識があるだけでは、目の前にいる患者さんの病の原因を探る、治療の方針を立てるといった問題解決には全く歯が立ちません。普段からの自己主導型学修、思考訓練によって、しっかりとした枝、幹を築いておき、得た知識(葉)を、体系立てて自分の中で整理し、応用する必要があります。
ここで、2,3年生で行われる実習、演習を2つご紹介します。 2年生で行われる「形態系実習(解剖)」では、ご遺体の解剖を通して人体の正常構造を学びます。実習前にきっちりと予習をし、自ら学修課題を見出す姿勢を身に付けることができました。また、医学教育のためにご献体くださった方のご遺志、ご家族のお気持ちに、皆で真剣に思いを馳せました。 3年生以降で行われる「症候病態演習」という授業では、紙面上で臨床症例を一つずつ取り上げ、学生間でディスカッションします。患者さんの訴える症状や検査の結果を見ながら、問題点をまとめ、患者さんの身体の中で何が起こってきたのかを考えます。自分達がこれまで学んできた知識を持ち寄って考察し、理解を深めます。 どちらも、基礎医学、臨床医学で学んだ知識を統合し、活用する能力を身につける訓練となり、学生同士高め合い、自分に必要な学びは何か考える機会となりました。
同級生には、低学年のうちから研究活動に携わったり、学外実習に積極的に参加したり、医学系の啓発運動や研究を行う部活を立ち上げたり等、目標をもって自分の興味の対象を深めようとしている学生が多くおり、尊敬しています。 私は、いくつかの部活に所属しており、コロナ禍での部活動のあり方を模索しています。 ページ冒頭の写真は、新橋祭での「ぬいぐるみ病院」の活動の様子です(右が私です)。左のお子さんは、お医者さんになりきって、患者さんに見立てたぬいぐるみを診察しています。病院への苦手意識を払拭してもらうことが活動の目標の一つです。
慈恵は、意欲のある学生に多くの学びを与えてくれます。受験勉強の合間に、大学入学後に何をしたいか、どのような学びを深めたいか、是非考えてみてください。
(医学科3年 M.Y.)※2023年1月掲載