《田中美緒》学びの可能性を広げるために、奨学金という選択肢

私は慈恵医大に在学中、慈恵大学奨学金と保護者奨学金に加え、学外の奨学金の貸与を受けており、お陰で自分の学費について不安を感じたことはありませんでした。 勉学と並行して部活動や学生会活動もしましたし、自分の興味の赴くままに研究室を訪ねることもよくありました。 無事に卒業して医師免許を取得後、附属病院で臨床研修を行い、現在は他大学の博士課程に在籍して寄生虫学の研究を行っています。 (トップの写真は研究でアフリカに滞在した時のもの)

大半の卒業生のキャリアパスからすると、私はレアケースかも知れませんが、自分の選択を後悔したことはありません。 学生当時は深く考えませんでしたが、この選択ができたのも、奨学金の貸与を受けたことが一因にあると今では思っています。 学費面での不安なく、のびのび過ごしたからこそ得られた学生時代の経験は、「自分の好きなことを見つけ、それを進路として選択する」という幸運を与えてくれました。 (本当に「のびのび」過ごしました。所属していた馬術部の自馬から採取した寄生虫を熱帯医学分野に持ち込んで教授のご指導の下で種同定したり(馬蟯虫でした)、演習室に無断で水槽を設置したり(即、個人特定されて怒られました)、等々) 奨学金のお陰で、今自分の好きな分野に身を置けていることに、心から感謝しています。 (写真は医学科学生時代の馬術部のもの)

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現在、奨学金の返済をしながら生活しています。 研究者は臨床医と比較すると収入が低いのは否めないですが、困窮することもなく充実した日々を過ごしていますし、結局何とかなる、というのが率直な感想です。 慈恵医大は、私立医科大学の中では学費が抑えられているとは言え、毎年大きな額面の支出があるのは受験生や保護者の方々にとって大きな懸案事項であろうと思います。 しかし、奨学金を受給しながら6年間慈恵に通った人は多く、現在は皆医師として活躍しています。 また、慈恵大学奨学金・保護者会奨学金の他にも学内外、様々な奨学金制度がありますし、給付型も多くあります。

学生時代は自分の興味を広げ、深めるために最高の時間です。 そして、その二度とない時間に、経済的理由で可能性を狭めてしまうのは非常に勿体ないことです。 学びの可能性を広げるための奨学金、そしてその支援を受けた多くの卒業生の存在が、受験生が最善の選択をするための勇気になれれば幸いです。

(医学科2015年卒 田中美緒)