基礎研究に夢中になった大学生活

「慈恵のリアル」の他の記事をお読みになった方はご理解していただけると思いますが、本学は大学生活の自由度が高く、各々が自由気ままな6年間を過ごすことができます。 そのような環境を生かして、基礎研究にどっぷり浸かった大学生活を過ごしてきた経験が、医学部を志す皆さんの進路選択の材料になれば幸いです。

高校生の頃より生命科学系の研究者を目指しており、研究医という職業を目指して医学部を受験しました。本学の他にも関東圏の国立大学から合格を頂きましたが、(大都会にそびえ立つ)慈恵医大(の建物)に魅了され、本学に進学しました。

2年生になり西新橋キャンパスに移ったタイミングで、待望の研究室に通うようになりました。(選択科目ユニット「医学研究」についての別に記事はこちら)。 私の扉を叩いた生化学講座では、リン酸化酵素に着目したがん研究を展開しており、細胞やマウスを用いた実験研究のいろはを習い始めました。当時はコロナ禍前でしたので、講義の合間や夕方に実験していました。

自身の目標として医学部以外の4年制学部の方と同程度の研究力の習得を考えていました。 私たちは6年間で学部を卒業する一方、理学部や農学部の方は修士課程を修了します。医学部のカリキュラム上、卒業研究や卒業論文は存在しませんが、筆頭論文を国際科学雑誌に投稿することを在学中の具体的な到達目標にしました。

各学年で半年毎に大きな試験があり、また4年生以降は臨床実習がはじまりましたが、空き時間はずっと研究室に入り浸り、時には泊まり込んでデータを測定するなど夢のような研究生活を送ってきました。

実験研究は分野にもよりますが、単純作業の繰り返しで膨大な時間がかかり、その上、大抵思うように結果がでないなど、辛いことが多いと思います。しかし、医学の座学の勉強との最大の違いは、自分自身の手で新しいことを見つけられるかもしれないことです(当たり前ですが)。このワクワク感にハマって一層研究に熱中した大学生になっていきました。

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(写真:大学全体の学術研究会でのポスター発表(左:生化学講座主任教授 吉田清嗣先生、中央:医学科5年(当時) 河村明良、右:講師 吉田彩舟先生))

最終的には、教員や大学院生の先生方の論文の共著者になったり、私の筆頭論文も発表することができました(プレスリリース)。また、投稿した国際科学雑誌では私自身についても紹介してもらうこともできました(First Person interview)。卒業後も入学前からの夢を追いかけて基礎研究の道に進む予定です。

未だ研究医のスタートラインにも立てていませんが、大学生活はただ医師国家試験に合格するための6年間ではなく、医師としてやりたいことを見つけ、その夢に近づくための貴重な時間だったと感じています。これから医学部に入学される受験生には多数の選択肢があると思います。最善の選択をされる一助になれれば幸いです。

(医学科6年 河村明良)※2023年1月掲載